国会は上院と下院からなる二院制で、上院は州議会から選出され任期6年、下院は比例代表制による直接選挙で選出される。任期4年。 1994年、中道右派のキリスト教民主同盟(CD刊)は、総選挙で大敗し、代わって中道左派の労働党(PVDA)をはじめとする連立与党が誕生した。CDAが野党になるのは初めてのことである。 社会保障費の削減や失業率の増加など残された問題を、今後いかに解決するかが連立与党に期待されている。 (2) 外交は歴史的にも王室同士の血縁関係で英国と接近。NATO(北大西洋条約機構)成立とともに加盟し、EECにも積極的に加入した。 3.経済 農業国だったオランダは、第二次大戦後から積極的に工業化を推進し近代工業国家として発展してきた。原料がとぼしく輸入原料の加工に重点が置かれる。国内市場が小さいため積極的に海外市場の開拓につとめ、その努力によって世界有数の高い経済水準を維持してきた。ロッテルダムなどの恵まれた港湾と輸送施設を背景に国際的な巨大企業を誘致し、石油精製、石油化学、電気機器、食品加工が現在工業の中心である。小国ながら世界でも指折りの巨大資本が集中しているのが特徴である。 また、マース河の河口のユーロポートには、水深一75フィートの世界最大のコンテナバースが整備され設備はコンピュータ制御で人影が全く見えない。EU圏の海陸空複合一貫輸送の拠点として発展している。 このほか、伝統的な酪農や園芸も重要な産業でチーズや球根はオランダの特産品になっている。 オランダ経済の特色としては、1962年に発見された天然ガスの恩恵でエネルギーの自給率は高い。北海の大陸棚のオランダ領域には、天然ガス及び石油の生産のため約50のプラットホーム(ガス用に40、石油用に10)がある。さらに天然ガス及び石油探索のため掘削装置が稼働している。石油及び天然ガスはパイプラインで本土に送られている。 オランダは社会福祉制度が行き届き最低貸金制による高賃金が実現されているが、貿易依存度が高いため外国の影響を受けやすく、EU諸国の経済不振をまともにかぶってしまうという弱点がある。
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